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サッカーに参加している振りをしながら、身体を動かしていると冷えてきた風に凍える事はなかったが早く授業が終わらないかとばかり考えていた。スポーツの得意な男子はここぞとばかりにサッカーに打ち込んでいるし、ソフトボールをしていた女子はいつの間にか男子サッカーの見学をはじめ、活躍している男子の応援をしている。
そんな光景をどこか他人事のように圭佑は見ながら、授業の終わりを待っていると遠目にグランドを隠れるように横切る人影が目に入った。人目を避けるように物陰から物陰に移動する人影が気になり、目を凝らす。
「…彰人…。」
人影が見知った人物だと分かれば、その名をぽつりっと呟いた。今日は一度も会えなかったが、無事な姿を確認出来た事に圭佑はほっと胸を撫で下ろした。安心出来たのは良いが、今は授業中である。彰人が何故こんな時間に授業にも出ず、人目を避けてグランドを横切っているのか。圭佑は疑問に思い、彰人の姿を視線で追いかける。どうやら向かっている先は旧校舎のようだ。
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