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圭佑は真っ白になった頭で本能的に逃げようと田村達の横を駆け抜けようとした。しかし、呆気なく捕まって岡村と竹尾に羽交い締めにされる。何発か殴られ、大人しくなれば田村の前に引き摺りながら連れて行かれた。
「圭佑くーん、逃げるなよ。お前にも逃げられねぇように彰人くんと同じお仕置きが必要かなぁ。」
彰人の名が出れば、圭佑の身体が僅かにぴくりっと動く。思わず反応してしまった事に圭佑は更に後悔を積み上げるが三人共、圭佑の反応には気づかなかった。田村の前に引き摺られて行くが、田村は圭佑を見ていなかったからだ。自分の携帯を弄りながらニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながらねちっこい声色で独り言のように呟く。
圭佑は目を合わせないように俯いていたが、岡村に髪を鷲掴みにされ強制的に田村の方へと向かされた
田村が漸く携帯から目を離し、圭佑を見る。圭佑は田村の浮かべる笑みに嫌悪と恐怖を感じた。田村が携帯の画面を圭佑に見せるように裏返した。
その画面を見た圭佑は血の気が引いていくと同時に目眩と吐き気を必死で我慢する。そんな圭佑を他所に三人の楽しそうな声が耳の奥に鳴り響いた。怒りと悔しさと絶望。圭佑の中には色々な感情が入り乱れ涙として頬を伝う。
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