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今は使われていない旧校舎の裏。圭佑はこの陰気な場所で古いコンクリートの出っ張りに腰を下ろし、母が作った弁当をつついていた。中学に入って二年目。もう、完璧に立ち位置が決まってしまっていた。
強者と弱者。
勝者と敗者。
学校での立ち位置は、社会に出ても変わらない。そう圭佑は思っている。圭佑は明らかに後者だった。弁当を半分ぐらい食べ終わった所で圭佑は溜息をついた。最近、友達…と、呼べるのかは分からないが、休み時間に一緒に過ごす相手が出来た。中学に入って休み時間を人と共に過ごす事がなかった為、圭佑にはその事が嬉しかった。
中学の入学式にインフルエンザにかかって一週間学校を休んだ。登校出来るようになり、学校へと行くともう既にグループが出来ており積極的ではなかった圭佑はどのグループにも入れなかった。そうなれば、中々誰かと仲が良くなるチャンスもなく運と積極性のなさが圭佑を弱者であり、敗者の立場へと追いやった。
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