友達のトモダチ。

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お互いの暗黙のルールとでも言うのだろうか。慰めたり憐れんだりはしない。圭佑と彰人は平等なのだ。明日は我が身。お互いに理解しているから、一緒にいられるのだ。虐めを共通点とした繋がりを知る者はいない。 この場所以外でお互いに遭遇しても挨拶をする事はない。この空間でのみの友達。独りでいるには孤独すぎる。だが、誰かと繋がりを持てば話したくない事も話さなければ繋がりを維持出来ない。それがなくても、繋がりを持てる相手。ルールを厳守する事で繋がりを守る。圭佑にも彰人にもこのルールを守る事は容易だった。 彰人はコンクリートの上に置きっぱなしになっていた袋に空になった弁当箱を入れて圭佑に差し出す。そこで初めて圭佑が彰人を見た。彰人が小さく笑みを浮かべれば、圭佑もつられるよう笑みを浮かべた。 暫く、二人は会話もなく空を見上げながらのんびりと過ごす。もうすぐ、昼休みが終わる。人と関わっても唯一平穏に過ごせる時間。二人に取ってはこの時間だけが学校にくる理由だった。 .
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