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圭佑はその話を聞いて下らないと思った。確かに虐めにはあっているが、そんな噂話を信じる気にはなれなかった。圭佑の考えを他所に彰人は真剣な表情でその話をしていた。
「…彰人、その話…信じてるのか?」
圭佑の問いに真剣な表情だった彰人は直ぐに表情を崩した。顔の前で掌を左右に振る。小さく笑い声を零した。
「まさか…信じてる筈ないだろ。こんな都合のいい話ある筈ないし…。」
圭佑は少し安心した。もし、こんな信憑性のない話を彰人が信じて、あろう事か実行しようとしたらついていける自信はなかった。こんな噂を信じ込むぐらいお互い追い詰められているとは思いたくなかった。圭佑と彰人の仲は奇妙な絆で繋がれているが、圭佑に取って大切な繋がりだった。
学校で平穏に過ごせる貴重な時間をこんな馬鹿みたいな噂話で壊したくなかった。だから、圭佑は彰人の真剣な表情が語っていた真意に気づけなかった、いや気づかない振りをしたのかもしれない。
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