友達のトモダチ。

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彰人が噂を否定すれば圭佑は立ち上がり、両腕を空に向けて伸びをした。そこで昼休みが終わるチャイムが鳴れば、彰人もゆっくりと腰を上げる。どこか痛むのかもしれない。動き方がぎこちなかった。 「…じゃあ、また明日な。」 圭佑は伸ばしていた腕を下ろし、彰人へと軽く手を振る。彰人も圭佑に手を振り返した。別々に校舎へ戻るのもルールの一つだった。万一、お互いが知り合いだと虐めている連中に知られれば二人一緒に虐められる。情けない話だが、どちらか一人が虐められている時は、一人は虐めから逃れる事が出来る。 だから、学校でどちらかが虐められているのを見てもお互いに知らない振りをする。決して助けを求めない、これも暗黙のルール。そうしてお互いを守っているのだ。 圭佑は急いで自分のクラスに戻った。まだ先生は来ていない。静かに目立たないように自分の席に座り、放課後まで眠くなるような授業を聞きながら過ごした。授業終了のチャイムが鳴れば途端に騒がしくなる教室。だが、それは圭佑には関係がない。誰にも遭遇せず、学校から帰宅するのが最優先事項だ。 .
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