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「誕生日ってせまい居間でしか祝っちゃダメなんじゃねぇの?」
高い天井を見上げると、シャンデリアが仰々しくぶら下がっている。ちりばめられたガラス細工が反射してチカチカと輝いているが、会場にいる人間はだれも頭上のシャンデリアなんか気にしない。
スーツやドレスで着飾って、グラスを片手に立食を楽しんでいる。スーツといってもラフなものや派手な色やデザインを身に着けている者も少なくない。男も女もかっちりとした正装ではなく、遊び心のある服装をしていた。
俺も黒のジャケットに白いシャツと無難な格好で会場に紛れている。
「これだけ大勢が食べられる誕生日ケーキってどれだけ大きいと思う? わくわくするね」
皮肉でもなんでもなく明石は目をきらきらさせていた。
その服装は真っ青のシャツに白いベスト、赤のタータンチェックのスラックス。スタッズのついたベルトをして、この会場の雰囲気に妙に溶け込んでしまっている。
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