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「お母さん!お父さん!」
「…何処にー!いや、よく無事で…!」
親子の感動の再会を見届けたドライドはレオンの様子を見に戻ろう、と踵を返すと目の前にそのレオンがいた。
「早かったな」
「ふん、だから余裕だと言っただろう?」
勢いをつけ殴る事十数発目、とうとう魔物の頭部は陥没し、脳に深刻なダメージを与えることに成功したのだ。もう面倒になって最後の方はその場で殴っていたが、存外いけるものであった。
自身の怪力っぷりに感心するドライドの首に首飾りが無い事を見つけたレオンが尋ねると「失くした」とのことだったので「探さなくていいのか?」と問う。
「構わん構わん。もう十分守ってくれたわ」
「ほう?形見、というやつじゃないのか?」
確かに、あれは形見だ。戦争から帰れば故郷は一面の焼け野原で助かった者もいないばかりか、そこに男の故郷があった事を示す物さえ残っていなかった。だから、あれが最後の故郷の思い出だった。
「物はいつかーいや、物では無くても手放さなければならない日は来る。あの世までは持って行けんからな。でも、いつ手放すかは選べて、俺はそれが今日だったというだけだ」
ドライドの視線の先ー彼が助けた少女を見れば見覚えのある首飾りをしている。視線で「いいのか」と問えば、ウインクをして「いいさ」という心情を表現する。気持ち悪いから止めた方がいいと忠告して、レオンは歩き出した。
大型の魔物は倒したが、中型の魔物を退治しなければならない。数が多いので早くしないと夜中になってしまう。
そうして、魔物を退治し終えた二人は翌朝それだけを告げて去って行った。
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