形あるもの

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 腹拵えを終えた二人は、魔物退治の依頼のあった村を探す。森を切りひらいてできた村への近道だろうと森に入ったが、見事に迷子になってしまった。たが、二人共そんな事は気にしていない。 シャカシャカと落ち葉を踏んでのんびりと歩くレオンが、不意に不穏な匂いを感じた。 「ん?焦げ臭いな」  まだ村を視界に捉えていない。それなのに焦げ臭いという事は、普段の料理とは桁違いの量を焼いているという事だ。それこそ、村丸ごと焼かれているかもしれないと考えるほどには。 「…俺たちが遅れてしまったようだな。急ぐか!」  ドライドがレオンを見てそう言うという事は、レオンが本性に戻り空から行こうという提案であろう。少々森の木の枝を折ってしまい翼が傷つくが、まあいいかと元のー竜の姿に戻ったレオンにドライドが飛び乗る。 「振り落とされるなよ」  ああ、という返事を聞いてレオンはゆっくりと翼を羽撃かせる。その速度は段々加速し、やがてふわりと浮いてその体が上昇していった。 「おお、上空からだとやはり分かり易いな」  ドライドが燃えている場所を見ながら言う。上空は風を遮る物も無くモロに食らっているのだが、どうやら堪えてはいないらしい。  それを確認したレオンは強く羽撃いて炎の上がっている場所へ急いだ。
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