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(なんで俺じゃなくてドライド?)
甚だ疑問に思うレオンであったが、それは一旦置いておいて少女の保護を優先した。
「お嬢ちゃん、怪我は?」
泣きじゃくって言葉を発せられない少女は力強く頷くことで返事とした。一応見える限り確認してみるが、擦り傷が幾つかあるだけで今すぐ治療が必要な大怪我はしていないようだった。
魔物退治は後にしてこの子を避難させよう、とドライドが抱え上げて火の弱い所から村の外へ出ようとする。その時、魔物の哭き声が響いた。
「ヴォァァァー!」
ビリビリと振動した空気が皮膚を打ち付けて痛みを感じる。先程見かけた中型の魔物の鳴き声に似ているが、明らかに低く、強わい声だ。本能的に声がした方を見ると、大型の魔物が歩いていた。形はこの村を焼いた中型の魔物をそのまま大きくして二足歩行しやすいようにバランスを整えた、と言えばいいだろう。仲間なのかもしれない。
その巨体に似合わず目敏いようで、しっかりとレオン達を捕捉して炎を物ともせず真っ直ぐやって来る。恐らく、外皮は炎に耐性があるのだろうが、意外と足が速くて驚いてしまった。チラッと相棒のドライドが抱える少女を見て、言う。
「あれは追いかけて来そうだから、お前達は先に逃げてろ」
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