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大型の魔物をレオンに任せて、村人のいる場所を目指すドライドだったが一つ問題が起きていた。中型の魔物が襲って来たのである。大型の魔物の影響か、はたまた数匹処分したのが逆鱗に触れたのか、理由は定かでは無いが行く手を阻む気があるようだ。
そう強く無いので少女を抱えたままでも簡単に倒せていたのだが、数を揃えられると如何ともしがたい。火の中を逃げた方がいいだろうが、少女はずっと怯えている。
「おーい、大丈夫…じゃないな。よし、これをやろう」
そう言って器用に首飾りを外したドライドは少女の首にそれをかけた。
「?どうして?」
「それは、なぁ。お守りなんだ」
ずっと昔、彼が傭兵になる前。故郷の戦争で徴兵された時、無事を祈って家族がくれたものだった。母親の話では呪いがかけられているとの事だったが、効果を感じた事は無い。
「じゃあ、貴方がしてないと…」
「いいんだ、俺は。もう、随分守ってもらったからな。次はお前が守ってもらえ」
でも、と言い募ろうとする少女を制し、異端諮問官のローブに包み炎の中へ進んで行く。
「え、炎が…!」
大丈夫、と繰り返す男を信じたのか、それとも炎の熱を感じないと気づいたのか少女は大人しく運ばれて行った。
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