蘆穂綿飄 あしのほわたかぜにただよう

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ポットに入れたコーヒーの睡眠薬は 良く効いたようで彼は熟睡。 もう1つトランクに忍ばせた灯油を 車の回りと後ろのシートに・・・。 コーヒーを飲みながら彼の身体を撫でる。 「独りになりたくないの・・・」 利口ではなく、愚かである自分に 気づいたけれど、もう彼を知る前の 暮らしに戻れはしない。 眠ってしまう前にドアを開けて火の点いたマッチを数本落とした。 「独りにしないで・・・」 彼に重なり眠りにつく。 湖からの風に身を任せ、夕暮れと炎に染まる片葉の蘆。 母さん、ここはあなたの好きな場所。
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