1章 ここから

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「いってきまーす!」 私は櫻井菜々子、そこら辺にいる普通の高校一年生。今日も普通らしく普通に登校中。 「ナナ、おっはよーう!」 彼女はそう言いながら私に突撃してきた。彼女の名前は中山レイ、レイと私は中学からの仲だった。 「そういえば今日、うちのクラスに転校生が来るんだってね!噂によると、帰国子女でめちゃくちゃ頭がいいらしい。親には他の学校を勧められたらしいんだけど、本人はどうしてもここに来たかったらしいわ。」 どこからそんな細かい情報を手に入れてるのかと私は感心というか呆れるというかよくわからない気持ちになりながらも学校に向かっていく。小学校から今日まで、私のクラスに転校生が来ることは一度もなかった。だから私は心のどこかですごい楽しみにしているみたいだ。 教室に着き、いつものように始令のチャイムが鳴り響き、担任が入ってくる。教室内はまるで圧迫されてしまうんじゃないかというほどの緊張感でいっぱいだ。皆転校生を待ち望んでいる。 「鈴木、教室に入れ。」 担任の一言によりその緊張感は一気に崩れ落ちた。そしてそこにはいつの間にか転校生が立っている。 凛々しい目、スカートからスラッと伸びる脚、光輝いていると例えてもいいくらいにツヤツヤの髪の毛。その容姿はまるで小さい女の子が愛す人形のようだった。 「鈴木初音です、フランスから親の仕事の都合でこの学校に来ました。よろしくお願いします。」 その時何故か私は彼女に睨まれた気がした。きっと気の所為だろう。
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