時空の音

【ＤＭ １】

　雨垂れのリズムは狂わない。雨足は変わらないのだろう。

　俺のメロディーも出ては来ない。ただとんでもなく気持ちが昂っている。

　曲は知っている。ポピュラーな部類に入ると思う。
女性シンガーが歌った曲だ。その時代のヒットチャートにも挙がっていた。
　何人ものミュージシャンがカヴァーしている。
　このバンドは知らなかった。

　アコースティックギターとヴォーカルになると、どうしてもヴォーカルが目立つ。主役になる。
　ただ、このバンドは違った。
　ギターもヴォーカルも主役だ。
　どちらがかけても成立しない気がした。
　どちらか一方が欠けたら、もうあの感動はないだろう。

　スピーカーから聴きたくて、ＰＣからサイトに飛んで流した。

　部屋の空気の色が変わったような気がする。

　そんな音の中で繰り返し流れる虜になったギターのアレンジに導かれるように、ふたつ目のＵＲＬをタップしていた。

　そこにはブログ。

　新種の宣伝活動とも思える、でもすぐにそんな考えを否定した。
　彼女はSNSに長けていない。

　そしてなによりも、そんなイメージを持てない。