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西暦2398年の9月、ベトナムのハノイのドンター地区で、暑い中でシャルロット達は『感染者』を追っていた。
――シャルロット、聞こえる?――
クロディーの声がヘッドギアに内臓のスピーカーから聞こえてくる。
「聞こえるよ、そっちの首尾はどう?」
抑揚を抑えた声で訊ねた。
――『感染者』のアンドレ=ラルペリが自宅から出たよ。向こうはこっちの動きに気が付いてないみたい、強化タロススーツ様様だね――
「私達の強化タロススーツは当局から最新の物を支給されているもの、当然だわ」
シャルロット達が着ている黒い強化タロススーツには、筋肉増強の他に防御希望やステルス機能まで付いている。
――ステルス機能まで付いている強化タロススーツを見つけるなんて、まぁ現状無理でしょうね――
別の声が入ってきたと思ったら、ニコールの声だった。
――気が付かれる前に捕獲するよ、人混みから外れたところで作戦開始だ。いいね――
この声はメンバーの内で年長のオリヴィエの声だ。
三人は揃って――了解――と返事すると、『感染者』アンドレ・ラルペリに気が付かれないように、うだる様な熱気を放つ、かつての面影が残らない近代的な真夏の建物の屋根を、跳躍して移動していく。
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