第3話 不協和音

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 遺伝子を操作して、生まれる子供になるべく障害が残らないようにしていても、1億分の1の確率でVR適応障害の子供は生まれた。  最初は隔離されていただけのVR適応障害の人類は、その特性からVRの思想に染まることのない『好都合な駒』として使うことを中央(セントラル)AIが計算して導き出した。  それ以来、VR適応障害の人類は体を鍛えさせられ、強化タロススーツに身を包み、思想を『感染』させられた人物を更生施設に送ってきた。  100年以上も続くその歴史を、ひっくり返そうとする思想家は多く、時折『感染者』として厚更生施設送りとなって、数年後更生させられて出てくる。  更生施設で何が行われているのは、シャルロット達『スターファントム』も知らない。  ただ、送りこまれた人は思想も安定し、人々を不安に掻き立てることもなく日常を過ごすようになると言うことだけは知っている。
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