第4話 警告

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 訥々(とつとつ)と語られるニコールの過去にシャルロットは驚きを隠せず、手の平の桜貝の貝殻を握りしめていた。 「私、親って分からない」 「そうよね、人工子宮で育った世代だもんね。私達とは違う、ほんの150年前までは普通に妊娠して出産していたのよ。今じゃ滅多に見られないけど」  中央政府が人口を管理し始めて約150年、20年に渡る人類史上最悪の宇宙戦争の後は本格的に管理された。  その後は思想も管理され危険分子は徹底的に排除されて、今では不満を抱く人間すら珍しい。  そんな中でも『自殺ウィルス』を生み出し、『感染』させてゆく、その『教祖』の存在は中央政府を脅かしていた。 「今じゃ、ランダムに精子と卵子が選ばれて人工子宮から生まれてくるんだもんね。本当に長く生きてると、信じられないことばかり起こるわ」 「ニコールのことは分かったけど、オリヴィエは子供産まなかったの?」  ふと気になってオリヴィエの過去を聞いてみた。
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