不思議なクレヨン③

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不思議なクレヨン③

不思議なクレヨンで描いた絵は 絵のまま、そのものになった 炎は炎の絵のまま熱くなった 「便利ねーこのクレヨン」 ピンクのウサギはお腹が減ったので 食べ物を書いてみた 「うわぁ食べ物が沢山だ!うん美味しい!」 ピンクのウサギは もっともっと食べ物を描いた 要らなくなるほどに 「ゲップもう食べられないや!お腹いっぱい!」 すると先程まで食べ物だった絵はただの絵に戻った 「え?食べ物だったのが絵に戻った!」 クレヨンで描いたものは 本当に必要な絵は本物になるが 必要無い物は本物にはならなかったのだ ピンクのウサギは 今お腹いっぱいなので これ以上食べ物は必要なかった 必要無いものだったのだ 「そっか欲しくなくなったら消えちゃうのね!」 ピンクのウサギは考えた 長い時間考えた 長かった影ちゃんも小さくなり また長くなるほど考えた 「あ、影ちゃんがまた消えちゃう!」 沈む太陽を見ながら呟くと 「あー!そーだ!太陽をもう1つ描こう!私天才!んバッ!」 太陽が完全に消える前 最後の光はとても綺麗で 闇がやって来ることを 拒むかのように美しく強い光を放つ それが終わると対象的に 闇が深く感じるのだ ピンクのウサギは目に見える一番高いところで 闇を迎えた 「闇さんが来たわね!」 ピンクのウサギは 一番明るい色のクレヨンを取りだし 目一杯手を伸ばし そこに太陽を描きだした 大きな、大きな丸を描き 中を一番明るい色で塗っていった この世界に二つの太陽が生まれた
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