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「分かった、分かったから。もう大丈夫だから安心して」美由紀は袖を掴んでいる順子の手を、ゆっくりと握り返した。
「ううっ…、本当なのよ」
順子は頭を抱えて泣いている。
美由紀は戸惑っていた。
順子はそんな嘘をつく子ではないし、こんな怯え方をするなんて…まさか。
すると時子が戻ってきて「ごめんね美由紀ちゃん。今、警察の方が来られて」と、時子の後ろに、スーツの男性が二人立っていた。
「申し訳ありません。お嬢さんさえ良ければ、少しお話を伺いたいのですが…」と一人が警察手帳を示した。
「じゃあおばさん、私はこれで。またお見舞いに来ますね」と美由紀はお辞儀をして、まだ背中を向けている順子を見つめた。
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