第1章 散歩道にて

4/6
前へ
/44ページ
次へ
「え?」 順子はもう一度、懐中電灯の光をそこに向けた。 そこには女の顔があった。 つららの様に逆さまにぶら下がり、ぼさぼさの髪の毛は逆立っている。 身体は茂みに隠れて、逆さまに向いた顔だけが、異様に浮かんでは、順子を睨んでいた。 「き、きゃあー!」 順子は懐中電灯を放り投げて、来た道を一目散に駆け出した。 助けて…助けて! 順子は無我夢中だった。 あれが何なのか考える余裕もなく、ただ恐ろしかったのだ。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加