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渡辺 絹江、享年71歳。老衰による多臓器不全。それが妻の死因だった。
今どき70前半で老衰と言われてもピンとこないかもしれないが、絹江はもともと体が弱かったこともあり、むしろ大往生だと思っているし、私も先立たれることを覚悟はしてきた。
だから、一緒にいる時間をたくさん作った。
だから、ずっとに寄り添っていた。
だから、たくさん笑うようにしていた。
一緒に買い物に出かけて、夕飯は何を作ろうかと一緒に考えて、台所に一緒に立って、二人のディナーを楽しんだ。食後はソファーに一緒に座って年甲斐もなく肩を寄せ合いながら、テレビを見た。妻は控えめな笑い方をする中、私は大きな声で笑った。
それは、来るべき時に向けて、後悔のないように。
ーーそのつもりだった。
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