1. 彼と彼の時間

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1. 彼と彼の時間

「どうした?」 白い死神が巨体を折り曲げて、僕の顔を覗きこむ。それで視界が遮られたことをいいことに、くるりと後ろを向いた。 先にいたものに、出会いたくなかったから。 「オヤ、もうお帰りかい。久しぶりの外出だろう。もッと楽しもうじゃないか」 ケタケタと笑う死神があまりに下品だったから、その横を黙って通りすぎることにした。そうすれば、拗ねたように鼻を鳴らされる。 本当のことを言うと、僕だって帰りたくない。最近体調が優れなくて布団から起き上がれなかったから、外の空気を吸うのは懐かしいくらいなのだ。 ついでにと、元気な時に通っていたカフェに顔をだそうと、調子にのって電車に乗ってしまった。つまり、遠出をしたのが間違いだった。 言い訳しよう。 だって、パフェが食べたんだもの。
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