第2章 聖龍帝と赤龍王

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「しかし、城島の旦那は偉かった。厨房にやって来ると、儂に頭を下げてな。どうか、力を貸してください。って、そう言われちゃ、断れねえやな。」 コジーは城島の仕事に、力を貸すことになった。 聖龍帝は、ちょっと偏食気味で、好き嫌いがハッキリしていた。 それでも、そんなに変わった物【城島してみれば、充分変なものだったけど】は、リクエストして来なかった。 「そう言えば、ひとつだけ奇妙なリクエストがあったな。」 聖龍帝の奇妙なリクエスト。 それが、ドラグフラワー。 ドラグフラワーを使った、料理をリクエストして来たのである。 城島にとっては、全く未知の食材で、【どの食材も、大概未知であったが】どう扱って良いか?そこでコジーの出番、もう10年以上、王宮の厨房で働いているので、この国の料理には、粗方知っている。 そのコジーにして、ドラグフラワーの料理には、ちょっと二の足を踏む。 ドラグフラワーは、この国に古くから伝わる食材のひとつだが、龍形人は余り好んで食さない。この国に住む小獣族が、主な食材として使う。 だからと言う訳では無いが、取り扱い量が極端に少ないし、生産地も極、限られていた。 それでも、聖龍帝のリクエストだから、作らない訳にはいかない。 城島は用意された、ドラグフラワーを一から解析する事にした。 龍花小麦・ドラグフラワー。その名が示す通り、小麦粉である。 此れが、小麦と名が付いてはいるが、普通の小麦ではない。 普通の小麦が、一株に10本前後穂が付いて、一つの穂に、10から20前後の、小麦の籾が実る。 龍花小麦は、その一株がデカイ。 一株がちょっとした、植木の太さである。 次に、背丈が尋常じゃない。人の背丈【龍形人は、日本人より、頭ひとつ低い】よりも高い。 そして問題は、その穂である。 龍花の名前通り、龍の頭の様な穂が出るのである。それに対して、籾が小さい。 まるで粟粒である。 普通の小麦の半分もない。 一株のドラグフラワーから、大笊一つ分の籾がとれる。
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