第2章 聖龍帝と赤龍王

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1エーカーの畑だと、約3トンの籾が回収出来る。 採れ過ぎの感じだが、問題がある。 ドラグフラワーは、くず籾が多い。そしてくず籾の多くに、毒が有るのだ。 くず籾を選別する方法は、確立していて、然程苦労はしない。が、真の収穫量は五分の一位だ。 こんなめんどくさい作物が、なぜ廃れず受け継がれて来たか? 答えは、ドラグフラワーの香りにあった。 ドラグフラワーを粉に曳くと、なんとも言えない、芳香を発する。 この粉でパンを焼くと、なにも付けなくとも、単品で御馳走になると言う。 しかし惜しいかな、龍形人の多くは、臭いに鈍感なのだった。 そう言うわけで、ドラグフラワーを常食にするのは、この国では小獣族だけなのだった。 城島は、取り寄せたドラグフラワーを、そのままヒョイと摘まんで、口にいれた。 口の中でムグムグと咀嚼、ゆっくりと息を吸って、口の中のドラグフラワーと混ぜて、その香りを確認する。 一流のソムリエが、新種のワインを、テイストするかの様な感じだった。 そして城島は、ニヤリと笑った。 「城島の旦那と儂は、園遊会に向けて、色々と料理を考えていった。」 その中で、城島がひとつだけ、顔をしかめた物があった。 この国と言うか、この国の龍形人が、好んで食する食材を、 「おい、お前らこれ、本当に食うのか?」 そう言って、イヤーな顔で、摘まみ上げた。 「儂らには、極普通のものだったが、城島の旦那にしたら、余りに奇妙な物だったらしい。」 コジーは、ちょっと愉快だねっと、いった感じで目を細めた。 「その食材って、一体何だったんですか?」 それまで、静かに話を聞いていた神山が、コジーに聞き返した。 「ほら、これじゃよ。」 コジーは、皿に盛られていた、お茶受けの豆【のようなもの】を、摘まんで見せた。 「ひえっ!」 神山はビックリして、声を上げた。 「これは、アゼラって虫の幼虫で、儂達の常食でな。」 そう言いながら、コジーはそいつを、ヒョイと口にいれて、旨そうに噛み潰した。
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