第三章 王宮の、熱い夜。

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神山は、城島が持ってきた、厨房着に着替えて、王宮の厨房に来ていた。 厨房では、コジー達が早くも、忙しく動き回っていた。 厨房に入ってきた、城島達を見つけたコジーが、挨拶をしに来た。 「やあ、おはよう。旦那、龍花小麦、今朝早く届いたよ。」 コジーが、意気揚々と言う。 「そうか!此れで、一岩スペシャルが作れるぜ!」 城島が、にんまりとする。 「では、コジー。手筈通りに、頼むわ。」 「お任せあれ!」 その返事を聞いて、城島は厨房を出ようとして、あっ、と言って、踵を返す。 「コジー、ちょっと。」 城島はコジーを呼んで、耳打ちを【耳が何処に有るのか、判らないが】、何やらこそこそ話している。 「へえー、ハイハイ。あっ、そうなの!」 話を聞き終わったコジーは、神山の方を見て、城島と同じようにニヤニヤ【良く判らないが】とした。 城島と神山は、厨房を出ると、裏に回って、食糧庫に入っていった。 やや大きめの麻袋【様なもの】が、四袋無造作に積まれていた。 「こいつを全部、粉にするから、水車小屋迄運んでくれ。」 食糧庫の外に、荷車を横付けして、一袋ずつ肩にかついで、荷車に下ろす。 此の袋がけっこう重い。 ざっと、20㎏は有ろうか? 「気を付けろよ!一袋、10貫目の上あるからよ!」 後ろから城島が、声を掛けてくる。 「10貫目?此の一袋で、40㎏近いんですか?」 神山は、驚いた。 「今持ち上げた感じ、多くて20㎏ちょいって、感じだったけど?」 城島はニカッと、笑うと、 「俺も、此方に来たときには面喰らったが、どうやら人間は此方に来ると、パワーアップするらしい。」 「パワーアップ、ですか?」 神山は、「分からなくはない。」と、思った 。 此の世界に来て直ぐに、物の落下速度が、異様に遅く感じた事や。長い距離を歩いても、然程疲れを感じないこと等、感覚や体力が レベルアップ?したような感覚を覚えていた。 取り敢えず、小麦の入った麻袋を、全部水車小屋に運んで、水車小屋に備え付けてある大きな石臼に、小麦袋をセットした。 普段は外してある、水車のクランクのボルトをはめて、ストッパーを外すと、石臼がゆっくりと回りだした。
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