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下手をしたら、通報されて、商売どころじゃない。
「呼ばれたんだよ!」
城島の話では、城島は北神代議士に呼ばれたと言う。
「あ、そう言えば、北神センセは、知る人ぞ知る、大のラーメン好き。」
それを聞いて、神山は府に落ちた。
「俺は元々、新宿西口で屋台を引いていたんだが、偶然北神代議士が、と言うより秘書がやって来て‥‥‥。」
新宿西口で、屋台のラーメン屋を出していた城島一岩のところへ、北神の私設秘書の男が、ラーメンを食べに来たのが、そもそもの始まり。
その秘書が、月に何度か城島のラーメンを食べに来て、ある日不意に北神代議士が、城島の屋台にやって来た。
「そしたら、いたく気に入ってくれてね。」
今では直接自宅に、呼びつけている。
と、此処まで話して、城島は不意に立ち上がった。立ち上がったと言うのは、表現が変だな。空中を自由落下しているのだし。
気が付くと、随分地面が近くなっている。
幾ら落下速度が遅い、と、言っても、此のままなら2・3分で、地面に激突である。
城島は親指と人差し指で輪を作り、口に当てた。
「ピーーーーーー!」
可なり甲高い音が、辺りに響いた。
すると何処からか、甲高い鳴き声が飛んできた。鳴き声と共に、巨大な鳥が頭の上に飛んできた。
「クケーーーーーー!」
まるでお伽噺に出てくる、巨大な鳥ロックであった。ロック鳥と違うのは、翼が羽毛ではなく、コウモリの様な皮膜であった。
その大きな鳥?は、神山たちの上を高速で通りすぎるや、かなり遠くで急旋回して、再び神山たちに、突っ込んできた。
「うわっ!」
神山は、腕で顔を覆い、目を閉じた。
その途端、神山は自分の体が、真横に引っ張られるのを感じた。
ふと気が付くと、あの巨大な鳥?の、背の上であった。
「うおっ?何だ?」
巨大な鳥の背に、神山と城島、それと全身茶色のローブを纏った、奇妙な人物と一緒にいた。
「一岩殿、お早いお帰りで。」
奇妙に高い声で、その茶色いローブの人物が、城島に挨拶してきた。
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