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城島は頭を掻きながら、
「やっぱり此処か。すると又あいつが、呼び出したんだな!」
城島の野太い声に、怒気のような響きが加わった。顔の表情は、余り変わらない。
尤も、はじめから怒ったような表情しか見せていない。
「城島さん、此処は一体?」
神山は恐る恐る、城島に聞いた。
明らかに、自分の暮らしていたのとは、違う世界に来てしまっていた。
「此処は龍人王国。」
城島が、物々しい口振りで、答えた。
「龍王バルデナント・バハムート・ドラグナム13世が支配する、龍人の国である。」
城島の言を次いで、茶色いローブを纏った人物が、そう言ってきた。
「龍人王国?」
神山の頭の中に、?の大群が渦巻いた。
「まあ、頭がごちゃごちゃするのは、仕方ない。俺もそうだった。」
城島が、さもありなん。と言う感じで、頷いた。
神山は、考えるとこんがらがると思い、考えるのを諦めた。
が、とんでもない違和感が浮かび上がった。
「君、日本語、出来るの?」
茶色いローブを纏った、謎の人物は、さっき滑らかな日本語を喋っていた。
「こいつは、と言うか、こいつらは日本語、いや、言葉を喋ったりしてねえよ。」
城島は、茶色いローブの人物の、頭のフードを外して見せた。
其処に有ったのは、ツルンとした頭部に、やや大きめな瞳。鼻と口が合わさって、前へと突き出た、嘴の様な顎。
皮膚の色は、明るい灰色。頭部の前半分は鱗状の皮膚が剥き出しだが、後ろ半分から肩にかけて、鮮やかな、青い羽毛がモコモコと生えている。
神山は、ちょっとギョッとしたが、強く興味を引かれた。
昔、ミステリーマガジンで見た、恐竜が滅びずに進化した、恐竜人間【Dinosauroido】の想像図に、良く似ていたからだ。
「こいつらは、龍形人。」
城島がちょっと、得意気に喋り出す。
「この世界、ドラグナーダにようこそ。」
城島が、得意気に喋り出そうとするのを制して、その龍形人が、恭しく此の世界を紹介した。
なるほど、確かに声を出してない。
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