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第2章 聖龍帝と赤龍王
神山は、ハタと目が開いた。
頭の中の靄が、急激に晴れていく感じだった。
ガバッと、上体を起こす。
さっき迄居た部屋ではなかった、やや固めの寝台の上に、薄い毛布が掛けられていた。
着ているものは其のままだが、上着の背広は寝台の背もたれに、掛けてあった。
寝台を降りて、大きく背伸びして、
「ふああああ!」
大きく、欠伸をした。
コンコン!
部屋の戸を、誰かがノックしている。
「はい、どなた?」
神山が返事をすると、
「失礼します。」
年若い女の人の声と共に、白いメイド服【みたいなもの】を着た背の低い人?が入ってきた。
両腕に、沢山の布?【多分、衣服】を抱えて、神山の間近に、スススっとやって来た。「此方の服に、着替えていただきます。」
そう言って、抱えている服を寝台の横の、ワゴンに下ろした。
「これを、着るの?」
「お手伝い致します。」
言うが早いが、ワゴンの上の服を、放り投げるように投げあげた。
「わっ、ちょっと!」
更に神山の着ていたシャツとパンツを手際よく、脱がしていく。
抗う隙もなく、下着一枚にされたかと思うや、ゆっくりと落ちてきた服を、畳み込むように、着せて行く。
まるで、腕が四本有るようだった。
いや、現に腕が四本有った!
奇妙に長い腕が、肘の辺りから二つに別れて、四本になっていた。
腕の先に、二本と三本の指が有る。
神山は、あっと言う間に、この国の民族衣装?に着替えさせられていた。
頭には、青いターバン。
ゆったりとした、白いシャツの上に、青い貫頭衣風の上着。其の前が開かないように、赤い帯が巻かれている。
灰色のスラックス?を履かされて、黒い皮のブーツも。
腰に小さな短刀を、差してあった。
四本腕の侍女さんは、其を確認して、満足気に頷いて、
「此方で、御座います。」
そう言って、神山を部屋の外へと導いた。
部屋の外は長い廊下で、その奥に大きな扉があった。
その扉を開けると、広い中庭に出た。
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