第2章 聖龍帝と赤龍王

1/13
前へ
/30ページ
次へ

第2章 聖龍帝と赤龍王

神山は、ハタと目が開いた。 頭の中の靄が、急激に晴れていく感じだった。 ガバッと、上体を起こす。 さっき迄居た部屋ではなかった、やや固めの寝台の上に、薄い毛布が掛けられていた。 着ているものは其のままだが、上着の背広は寝台の背もたれに、掛けてあった。 寝台を降りて、大きく背伸びして、 「ふああああ!」 大きく、欠伸をした。 コンコン! 部屋の戸を、誰かがノックしている。 「はい、どなた?」 神山が返事をすると、 「失礼します。」 年若い女の人の声と共に、白いメイド服【みたいなもの】を着た背の低い人?が入ってきた。 両腕に、沢山の布?【多分、衣服】を抱えて、神山の間近に、スススっとやって来た。「此方の服に、着替えていただきます。」 そう言って、抱えている服を寝台の横の、ワゴンに下ろした。 「これを、着るの?」 「お手伝い致します。」 言うが早いが、ワゴンの上の服を、放り投げるように投げあげた。 「わっ、ちょっと!」 更に神山の着ていたシャツとパンツを手際よく、脱がしていく。 抗う隙もなく、下着一枚にされたかと思うや、ゆっくりと落ちてきた服を、畳み込むように、着せて行く。 まるで、腕が四本有るようだった。 いや、現に腕が四本有った! 奇妙に長い腕が、肘の辺りから二つに別れて、四本になっていた。 腕の先に、二本と三本の指が有る。 神山は、あっと言う間に、この国の民族衣装?に着替えさせられていた。 頭には、青いターバン。 ゆったりとした、白いシャツの上に、青い貫頭衣風の上着。其の前が開かないように、赤い帯が巻かれている。 灰色のスラックス?を履かされて、黒い皮のブーツも。 腰に小さな短刀を、差してあった。 四本腕の侍女さんは、其を確認して、満足気に頷いて、 「此方で、御座います。」 そう言って、神山を部屋の外へと導いた。 部屋の外は長い廊下で、その奥に大きな扉があった。 その扉を開けると、広い中庭に出た。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加