夜の修羅を駆ける少女は昼間は地味っ娘

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そして遂にすき焼きが出来上がった。 「さあさあ、今日はみんなの好きなすき焼きだよ。」 お祖父ちゃんと妹の紅葉(もみじ)の表情を見る限り、どうも今日はすき焼きという感じでは無さそうだ。 「ゆ、柚花・・・すき焼きは三日前もしたじゃろ?ワシ、魚料理が食いたい・・・。」 「柚ちゃん、私も今日はお魚が良かったな・・・。」 こういう事は稀によくある。 柚花は肉が好きだからどうしても肉料理に片寄る為、生物が好きな二人と合わないところがある。 「柚花よ、ワシゃ何も刺身とか生物を食いたいと言っとるんじゃ無いぞ?普通に焼き魚で良いから魚を食いたいだけなんじゃ。」 「サバとか鮭とかサンマも鰯でも何で良いからお魚食べたいな。」 「・・・分かったよ。明日は鮭にするから今日はとりあえず、すき焼き食べようよ!」 なんでこうなった? お祖母ちゃんが生きていた時はこういう事は無かった。 こういう「またすき焼きぃ?」とか言われることは無かった。てか、お祖母ちゃんがみんなに我が儘を言わせないようにしていたのであろう。 これだよねぇ、絶対に文句を言われないであろうと思っていた物を作ったら文句を言われる。 いや、世のお母さん達って凄いな。こういう事を言われないように料理をするってすごいなー。 ああ、料理担当ってめんどくさいな・・・。
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