夜の修羅を駆ける少女は昼間は地味っ娘

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その時、昨日柚花が車で突っ込んだビルの中には黒いスーツ姿の男とその舎弟がいた。 男の年齢は30代前半といったところか。坊主アタマで全身から妙なオーラが漂っている。 「これが、こんな小娘がやるなんてなぁ―。信じられるかオメーら?」 スーツの男が舎弟に写真を見せた。 その写真は昨日柚花が車でビルに突っ込む瞬間の写真である。 「まだ高校生ぐらいの女じゃないですか。それでこんなことやらかすとは・・・どうします?北条さん。」 「北条じゃねぇ!若頭と呼べやぁっ!!」 「アがァァっー!」 舎弟の腹を思いっきり蹴り飛ばした北条は写真を他の舎弟にも見せる。 「どっからどうみても正真正銘の美少女って奴だな。痴女っぽいコスプレしているし、変態親父に売ればトンでもねぇ金額になる。でも、俺はコイツを売らない。殺してコンクリート詰めにしてやる。俺達の組をここまでボロボロにした女だ。生かしちゃおけねぇ。」 しかし、気になるのは周辺の監視カメラは殆どが壊されていたはず。どこで写真を手にいれたのやら。 「若頭!この写真どこで見つけたんですか?監視カメラは殆ど壊されたと聞きやしたが!」 「これはなぁ、遠くからボンヤリ映っていた写真をな、知り合いに大きく加工してもらったんだ。とはいえ、この写真だと横顔だ。真正面から見た顔じゃないと分からない所は沢山あるな。」 北条は煙草に火を付けて電話を掛ける。 「おい、オメェか?そろそろアイツが出所するだろ?例の抗争の時に大活躍した川畑の事な。・・・あ?再来週?まあ、良いわ。出所していきなり川畑には活躍してもらわなきゃなんねぇからちょっと貸してもらうぜ。」 話が一通り終わった北条は電話を切り、再び煙草を吸う。 「川畑が居りゃあだいたいの揉め事には勝つ。それでも無理ならこの俺が直接引導を渡してやる!」 昨日の柚花の派手すぎる殺し方が柿田組を本気させてしまった。 だが、同時に巨悪の手先である柿田組を潰せば日本も少しは良くなるかもしれない。
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