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「こーゆー事、したくなる」
「な、に言って・・・」
「あきは、嫌?俺にこーゆー事されるの」
え、え、ちょっと待って。嫌じゃない。嫌じゃないけど、やべえ、心臓痛え。
「さっき抱きしめた時、あき、俺にもわかるくらいドキドキしてたじゃん」
・・・顔から火が出そうだ。あの心臓の音が榛に気付かれていたなんて。
「あき、真っ赤になって、かわいい」
「か、わいくなんて、ない!」
「あきはかわいいよ。ずっとバスケやってるわりに、細くてちっちゃい」
「それはっ、体質で・・・筋トレしてもなかなかつかねえしっ」
「腰だってこんな細いじゃん」
ブレザーの下から滑り込んできた榛の大きな手で、シャツの上から腰を掴まれる。
ゾクッとした感覚に、体の力が抜けそうになる。
「あき、なんかやらしい顔してる」
「え・・・」
ちゅ、と軽く口付けられ、俺は自分が榛を好きだという事に、気付く。
だから、榛の事目で追ったり、ドキドキしたり・・・
自覚してしまうと、ますます恥ずかしい。
「あき、下向かないで。俺の事見てよ」
「むり、だ」
ぐいっと両手で顔を引き上げられ、至近距離で榛の視線と絡み合わされる。
「キス、して欲しい?」
「っ!」
「ねえ、言ってよ、あき」
して、欲しい。けど恥ずかしくて言えそうにない。
俺は無言で目を閉じた。
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