拘束王子

13/13
前へ
/195ページ
次へ
榛は手錠を外して、赤くなった俺の手首をそっと握る。 「もう、いいのかよ」 「うん。あきが怒ってないってわかったから」 俺がもし怒ってたらどうなってたんだ? ・・・考えない方がいいな、きっと。 ベッドに上がって来た榛は、俺を背中からぎゅっと包むように寄り添ってくる。 「後ろからぎゅってすんの、好きだよな、榛」 「うん。あきの項、見えるから」 そーかこいつ、うなじ好きだっつってたもんな。 「ここに、あきの呪いがかかってたから・・・」 うなじに唇を寄せられて、くすぐったい。 「呪い?なんの?」 「んー・・・もういい・・・あきが、解いてくれたから・・・・・・」 とぎれとぎれの言葉の後、榛はすうすうと寝息を立て始めた。 「俺の、呪い・・・?」 もう解けたって言ってたけど・・・。 榛の言葉の意味が知りたかったけど、思い当たることが無くて、諦めた俺はもう一度寝る事にした。 俺は、榛の腕の中で夢を見た。小学生だった頃の夢を。
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1302人が本棚に入れています
本棚に追加