初恋は実らない

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ふと目が覚めて、昔の夢を見ていたんだと気付く。 背中に榛の体温を感じて、きゅうっと胸が痛くなった。 体の向きを変えて榛と向き合うと、まだぐっすり寝ているようだ。 ツルツルの肌に、色素の薄い髪、長い睫毛、すっと通った鼻筋、少し薄い唇。 かわいい、綺麗、カッコイイ、どれも当てはまるな。 俺は、こいつに二回も恋に落ちたって事なのか? 小学生の頃のチビでかわいい榛。 高校生になってイケメンになった榛。 どっちにしても、俺の初恋はきっと榛だ。 「おれがかけた呪いって、気持ち悪い、って一言だったんだな・・・」 その言葉が無かったら、榛がこんな変態にならずに済んだのかも・・・ 俺は、まじまじと榛の顔を見た。 「イケメンの変態・・・残念すぎるな」 「あき限定だから、俺が変態になるのは」 「起きてたのか」 「んーん、今起きた」 寝転がったまま、天井に向かって組んだ両手を上げ、伸びをする榛。 「榛、ごめんな」 「なにが?」 「いろいろと」 「なんだよ、いろいろって」 呆れたように、ははっと榛が笑う。 「ごめん、で俺が許すと思ってんの?」 「・・・思ってねー。だから、いっぱい酷いことしていーよ」 俺の言葉に驚いた榛が飛び起きる。 「あき、どうしちゃったの?やっぱ真性マゾ?」 「人聞き悪いこと言うな!」 誰がマゾだよ!
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