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三学期始業式の朝
「あきおはよ」
いつも通りの朝のお迎え。いつもと違うのは、榛がすでに起きているということ。
「起きてんならベッドから出てろよ。早く準備しろ!」
「あきの顔見て布団から出たいんだよ」
布団の隙間から出てきた榛の手が、俺のブレザーの袖をちょん、と摘む。
もうひとつ違うこと。
それは、榛の言葉が、袖を摘む指が、優しくなったこと。
でも俺はこの甘ったるい空気が苦手だ・・・。
小っ恥ずかしいし、榛の仕草にいちいちドキドキして落ち着かない。
「学校行きたくねー・・・」
「月曜日が怖い症候群かよ!早く歯磨いてこい!」
「違うよ。学校行ったらあき独り占め出来なくなんじゃん。学年も違うし。隣の席の女とあき、仲良いしさ」
・・・なにそれ。ヤキモチかよ。
「あきに手出してくるやつがいるなら、全員俺が誘惑してやる」
「え!なんでだよ!」
「あきが誰かに盗られんのが嫌だから!絶対にイヤだ~・・・」
榛はベッドに座ったまま、俺の腹にグリグリと頭を押し付けてくる。
榛以外のやつとなんて、あるわけない。
つーか、榛はモテまくってんだから、そういう心配しなくちゃいけないのは俺の方なんじゃ・・・!
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