平凡であること

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平凡な顔。平凡な高校生活。平凡な日常。 樫村 あき 高校2年。 俺を一言で表すとしたら、平凡、この言葉がしっくりくる。 そんな俺にも平凡でない一面がある。 物心ついた頃から薄々気づいていたが、俺は女に一切興味が無い。 おそらくゲイ、と言うやつなんだと思う。 だからといって、男に興味があるかと言われれば・・・よくわからない。 だけど、ゲイかもしれない、と気付き始めてからの俺は、今まで以上に平凡をキープするように心がけている。 俺は、平凡というぬるま湯に浸かっていたいのだ。 そんな俺の平凡を脅かす存在がいる。 後輩の 高杉 榛(はる) だ。 小学校の時のミニバスで同じチームだった彼と、高校のバスケ部で再会。 昔は泣き虫のチビだった榛が、長身のイケメン、いわゆるいい男に育って俺の前に再び現れた時には、不覚にも、トゥンクしてしまった・・・ その時、直感した。彼は、平凡な俺の日常を壊しかねない存在になる、という事を。 彼に近付くと危険だ。 なのに、その最要注意人物が、土足で俺の高校生活を荒らしにくる。 今日も、彼の存在に怯えながら学校への道のりを重い足取りで進む俺だった。
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