刹那を求めて

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刹那を求めて

私は返し場所の分からない本を抱いて、「出口」へ向かう。 ここを出ても、戻ってくるのにさして時間はかからないだろう。 戻ってきたら、また最後の一冊を「選ばない」私になる。 この苦しみを忘れて、新しい私になって、今度は一人きり、ここで永遠に本を読む。 忘却の果てでも、苦しみのない場所など無いのだと学んだ今代の私の経験が、今度こそそうさせるに違いない。
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