魔王のくせに

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「そもそもぬくもりってなんなんですか?」 俺が問いかけると、魔王様はリモコンでテレビを消して再度こちらのほうに鋭い視線を向けてきた。 「ぬくもりはぬくもりだ。こう、なんというか身も心もポカポカするみたいな」 「え?抱きしめて欲しいんですか?」 付き合い始めて1年。彼女もとい魔王様は結構積極的に俺にくっついてきた。俺の方は最初こそかつては敵同士だったということもあって戸惑ったりもしたけれど、最近ではそんなことは全くなくて、暇さえあればどちらからともなくくっついている。 「いや、そーいうんじゃない。ていうか、それされたら性欲が絡んでくるだろう」 しかし、今回はそういうことではないらしく真顔でそう返されてしまった。ちょっと残念。 「じゃあ、どうしろと?」 「自分で考えろ!そうやって考えることを怠けるからお前はダメなんだ!」 「誰なんですか、あなたは」 多分両親にもそんなことを言われたことはなかったはずだ。まさか勇者が魔王に説教を食らう日が来るとは夢にも思わなかった。 と、いうことで仕方なく自分で考えることにする。 おそらく魔王様はいわゆる「恋人としてのぬくもり」を欲しているのだろう。勇者であっても思考は一般的な男子である俺の頭の中では真っ先にいやらしいことが浮かんで来たわけだが、彼女が言ったように今回はそういうことではないらしい。おそらくボディタッチ抜きの精神的なぬくもりをよこせと言っているのだと思う。自分で言っておいてなんだが意味がわからない。
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