魔王のくせに

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「え?今の作戦じゃないの?」 「はい?作戦って?」 彼女の言っている意味がわからず俺が目を丸くすると、今度はジトッとした目つきで睨まれた。そこに先ほどまでの迫力はなかったけれど、何を怒ってるのかはよくわからなかった。 「とりあえずググってみましょうか」 と、ここで俺はスマホを取り出す。バイト先の居酒屋で一緒に働く高校生の佐藤くんにスマホの使い方を学んで以降、俺は何かわからないことがあればスマホで調べる癖がついていた。 「この世界に適応しすぎだお前」 そういう魔王様も、当初はスマホを使うことにチャレンジしていたのだが、すぐに匙を投げてしまった。飽きっぽい性格は魔王にありがちなものなのかどうかは分からない。 最近やっとこさ習得したフリック入力で「ぬくもり 恋人」と検索してみる。すると魔王様はグイッと俺に顔を近づけて画面を覗き込んで来た。どうでも良いけどこの人、魔王のくせに女の子特有の良い匂いがするんだよな。あの戦いの時もこんな良い匂いをさせて戦っていたのだろうか。
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