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…などという、至極どうでもいいことを考えながら指を動かしていると画面には検索した言葉に関するページがズラッと表示された。
「とりあえず、トップにセックスって文字が出てくるのは仕方ないか」
「まあ、そりゃあ…。と言うか、そういう単語をさらりと言ったらダメですよ。一応女の子なんですから」
俺の言葉に特に反応を見せることなく、魔王様がさらに俺との距離を詰めて来る。
「お、これなんかいいんじゃないのか?クールな彼が甘えてきた時、女性はぬくもりを感じるらしいぞ?」
勝手に俺の携帯をタップして、とあるページを見つけた魔王様が嬉々とした表情を浮かべながら俺の顔を覗き込んで来る。そんなさりげない仕草もイチイチ可愛いのがなんか腹がたつ。
「俺クールですか?」
「まあ、見ようによってはクールといえなくもないだろう。試しに我に甘えてみよ」
「やですよ」
何が悲しくてそんな恥ずかしいことをしなくてはならないのだ。そうでなくても相手は魔王様。万が一そんな姿をかつての仲間に見られでもしたら羞恥心で爆死してしまうことだろう。
「我もやだ」
なんか魔王様が可愛らしく頬を膨らませているけれど、ここは断固つっぱねさせていただく。
「俺もやだ」
俺が言うと、魔王様はバシバシと俺の肩あたりを叩いてきた。そして一通り叩き終わると最終的にはピタリと俺の腕に頬をくっつけてくる。
「なんか結局我が甘えてる感じになってないか?」
「いつものことじゃないですか」
魔王様は悔しそうに涙目になった。もしこれを狙ってやっていないのだとしたら、この人には究極のたぶらかしの才能があるのだろう。
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