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「おい、みんな。手を止めて聞いてくれ」
私の横にいたのは少しおなか周りのある、ブルドック顔の年老いた男性だった。彼が声を出すと、周りの男たちは一斉に作業をやめた。葉巻、サングラス、顔の傷……"マフィアの巣"という表現が一番適切だろうか。しかし、さっきまで騒がしかった室内が一気に静まり返ったことから、ブルドック顔の彼がここのボスであることは一目瞭然だ。私は横から伝わって来る彼からの威圧に耐えながら、ごくりと唾を呑んだ。
「今日から加わる新しい仲間だ」
しばらくして、ボスがぼそりと呟くと、周りの輩はケタケタ笑い始めた。
「ふっ、女かよ。どんな奴が来るかと思えば……」
「この業界も舐められたもんだな……」
「なぁ、こいつ本当に使いもんになるんですか?」
すると、連中の中のひとりがこちらに近付いてきて私の肩に触れようとした。
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