引力

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アサコさんと僕はよくご飯を一緒に食べたりする。大抵はアサコさんの仕事が早く終わる日とか。そんな日はメールでたった一行、ご飯食べる?ってくるんだ。 僕はマテを食らってた犬みたいにたった一行のメールに尻尾を振らんばかりの勢いでYES×100くらいの気持ちを乗せて返信する。 例え講義中であってもね。 だから、今日もこうして一緒にご飯を食べているんだけど、特に親密な会話をするでもなく当たり障りのない話がほとんどで。そしてさっきみたいに時々僕の知らない事をアサコさんは突然話したりする。 雪は天からの手紙とかって。 きっとアサコさんの頭の中ではそこに辿り着く前の流れが出来てるんだろうけど仮にその流れから話してもらったとしても正直、僕は理解出来るかどうか。 それでもこうして時々、食事に誘ってくれるんだからアサコさんにとってもこの時間は楽しんでくれてるのかなとは思っている。 とは言え、やはりアサコさんと僕の関係はとても曖昧でーーー 違うか。 曖昧に思っているのは僕だけだ。 アサコさんにとって僕は今でも大学時代の後輩という位置づけは明確だ。 だから僕のこのアサコさんへの思いは一方通行。 こうしてご飯に誘ってくれるんだから少しは僕に気があったり……って思ったこともあったけど同じ大学の女友達に聞いてみると「ないわー」って一言で片付けられた。 僕も正直、そう思う。 アサコさんが僕を異性として意識するなんて…… それこそ、天から手紙が降ってくるくらいの奇跡だよ。
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