光のプリズム

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護と知り合って一年とちょっとだが、人と人に何らかの絡まり合う類を持ち合うのは距離でも時間でもないのだ、と証明してくれているような気がしていた。それは心を開こうと努めていないにも関わらず、いつのまにか開いていてそしていつの間にか受けいれる。 それは時間でもなければ距離でもなく偶然なのか必然なのか、流れるように気が付けば今まで縁があった人たちの存在はなんだったのかと訝しがるほど、その人とその人の出会いは突然、そして気が付けばその深みにいるのだ。 但し深みは深みでもせいぜい掘り進める深さはこちらの器による。そしてそれはこちらの問題なのだ。 「親父が再婚した」 「……は?」 全く予想していなかったのだろう、護の口から米粒が飛び出した。 「結構前から付き合ってたらしい。俺は全く知らなかったんだけど。で、俺が二十歳(はたち)になるのを待っていたらしい」 「へぇ! 相手、どんな人?」 「あちらは初婚」 「え、え、年は、年?」 「……32」 「32! それはそれはぁ……、あかんやぁん……、AVやぁん、義母息子シリーズやぁん」 真人の予想通り、護はニタニタと嬉しそうに話す。 「そう言うだろうと思ったんだよ。お前、絶対そのスジに持っていくだろうなと思った。だからお前に言わなかったんだよ」 「じゃあ、他の奴に話したん?」 「してねぇよ」 「な? やっぱ俺ら親友やん。で何が問題なん。おじさんが幸せになってよかったやんけ」 「うん、それはね」 「うん、それ以外何が問題なんや?」     
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