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 ぼんやりしていたら突然顎を掴まれた。 「──何考えてんだ、和伊」 「別に……っ」  舌全体を擦り合わされるようにされ、ぬるりと滑るその感触に身体が震えた。投げ出されたままの和伊の指に指が絡みつく。忙しない呼吸の合間に、和伊、と低く呟く声が混じる。  こいつはとてもキスが上手い。  どんだけ経験を積んでるんだか、と呆れると同時に野郎同士として密かに尊敬したりもする。だが、そのエロいキスを食らわされる立場になってみたら、なるほどこうすりゃいいのかなんて考えている余裕があるわけがない。 「んっ──」  キスだけでこんなふうになるなんて、井川と寝るまで知らなかった。  初めてしたときからずっと。  気持ちはどうあれ、井川に抱かれて身体は素直に喜ぶし、そんなに親しいわけでもないのに、素っ裸で井川の横に転がっていると妙な安心感がある。  井川の肩に縋って舌を絡めながら圧し掛かる身体に身体を擦り付けて荒い息を吐く。ワイシャツの裾を手早く引っ張り出され、Tシャツを捲られてへそに井川の舌が触れた。  あちこちに吸い付く唇に気を取られていたら下着ごとスーツのパンツを引き下ろされて、下腹に唇の感触が落ちた。 「井川……!」  答えない井川の掌に膝裏を押し上げられ、尻の狭間に吸い付かれたから思わず声を上げて身を捩った。 「やっ──ちょっと待、てって、あっ!」  濡れた舌が入口をこじ開け身体の中に触れたのを感じ、和伊は期待に甘い呻きを漏らして仰け反った。
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