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消えそうな声だったが、不思議な力強さを感じた。
俺の心臓は確かに脈打った。
よく見ればとてもきれいな顔をしている。
小さな体躯には力強く未来を描ける希望がみえた。
俺は少年の身体から手を離した。
この先の未来で彼に会いたくなった。
少年の燃える琥珀色の瞳は決して忘れられないだろう。
俺は牙を隠し、暗闇に紛れることにした。
月の明るい晩以外、俺達は闇夜に身を同化させることができる。
狩りのためにと言う者もいるが、人間にも誰にも気付かれぬようひっそりと穏やかに生きることを闇だけは受けていれてくれる。
一瞬にして消えたように少年には見えたはずだ。
その証拠に彼はふらりとその場に倒れこみ、俺の姿を探しながら意識を手放した。
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