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「わあ、なんでまだ残ってるの!」
青年、セスは保管庫から取り出した1つの小瓶を手にこちらに近寄ってくる。
小瓶の中にはどろりとした赤が広がっている。
喉の乾きが、そいつをくれと訴えている。
「ほら、今すぐ飲んで」
「いや、」
いらない、とは言わせて貰えなかった。
セスは素早く小瓶の封を明けると俺の口にあてがった。
逃げようとしても後頭部を押さえつけられ逃げることができない。
そのまま傾けられた小瓶から流れる血液が俺の口のなかに広がる。
──まずい。
味覚はそう訴えるのに、体がとても軽くなる。
今まで感じていなかったが、ずっと気だるさに襲われていたのだ。
小瓶の中身が無くなると、セスは安堵したようにため息をついた。
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