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しかし、セスは難しい顔をして「そうとも限らない」と呟いた。
「彼女、ネックレスをつけてたんだ」
「……ネックレス?」
「そのネックレスは清められてた」
清められたネックレス。清める、というのは俺たちにとっては呪いと同じ意味をもつ。
「だから急いで外したらミネルヴァは意識を取り戻したよ」
「どうしてそんなのつけてたんだ」
「訳を聞いたら人助けをしたらお礼にくれたんだって。神のご加護がありますようにって」
「まるで呪いだな」
「まあ、それでヴァンパイアだとバレるわけにはいかないから彼女は家までつけて帰ったそうだ」
「それで外すまでもたずに家で倒れたのか」
愚かと言えば愚かだが、彼女は情に厚いのだろう。そして、人間が好きなんだ。
少しでも神に触れその慈悲を受けたものは猛毒だ。きっととても苦しかっただろうに。
「これがハンターの仕業だとしたら人間なんてもう信じられたもんじゃないよ」
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