至福の時間

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 12月始め。 めずらしく初雪がはやく、今夜も雪が降っていて酷く冷えこんだ。 仕事を終え、疲れた足どりで彼女は自分の足跡をつけながら歩く。家路はすっかり貸切りの銀世界になっていた。  部屋に入るなり彼女はお気に入りのソファになだれ込む。 1人で座るには大きすぎるアンティークのソファ。 部屋に置かれている他の家具はいたってシンプルで必要最低限に収められている。 少し広めの1LDKには物寂しい空気さえ感じられる。  「っと…、コーヒー、コーヒー…」 彼女の日課だった。 好きな音楽をかけ、お気に入りのソファに腰を掛けコーヒーを飲む。明日に差し支えないようにとカフェインは控えめらしい。 これは彼女にとっての至福の時間。  
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