なケなしのはなし

「パパ、誕生日おめでとう。最近寒くなってきたでしょ？　コレ使って！」

　私がこの世に生を受けてから38年目の今日。娘からのプレゼントに期待に胸を躍らせながら私はカラフルな包装紙を丁寧に開封していった。

　確かに冬も近づき肌寒くなってきたからな。セーターかな？　いや、このサイズと重量からしてマフラーかも？　それとも手袋？　まさか手編みとか？　いやいやまだ８才だしさすがにそんな手の込んだものは無理か。

　などと想像を膨らませつつ最後の一枚をめくる。中から現れたのは、黒い物体。

「……コレは」

「見ての通りカツラだよ！」

　そう。カツラだった。しかもドソキで売ってるようなパーティグッズ的な代物だ。