第三章

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「神や妖の夫婦見てごらんなさい、年齢差なんて誰も気にしてないわ」 「何千年も生きている本物とは違います。僕らはまだ人間の感覚ですよ」 「とうに人間でなくなった身なんだから、相応に対応すべきじゃないかしら。……それからアタシは立場的な理由や力のために二人がくっつけばいいって思ってるんじゃないの。桃ちゃんなら士朗を救ってくれると思うからよ」  翠生と紅介は押し黙った。 「……士朗は出生のせいで苦しめられてきたわ。アタシはずっと近くで見ていた……そして何もできなかった―――。だから幸せになってほしいのよ。そのためには桃ちゃんが必要なの」  蒼太は二人の去った方をじっと見つめ、繰り返した。 「そうよ―――士朗を救うためにね」
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