第二章

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「ああ、そうも見える。オカンと息子」 「でしょ? まったくどうしようもない子でねぇ」  と言いつつ蒼太お兄ちゃんは女性体になってみせた。  まつ毛が長くなり、喉のラインもシャープに。しかもボンキュッボンのナイスばでぇー(古い)。  一気に妖艶さが増し、何かいい香りまでする。式神たちも軒並み頬染めてポーっとなってる。絶世の美女、傾国の美姫ってこういうのをいうんだろうな。  効いてないのは兄たちだけだ。 「Wao……」  なぜか英語。 「すごい……あたし、大人になってもこんな美女には絶対なれない……負けたとかいうレベル通り越した」 「あらぁ? そんなことないわよー」 「無理無理無理無理」 「桃ちゃんならアタシより美人になるわよ。だって……」 「蒼太」  士朗お兄ちゃんが鋭く遮った。すばやくアイコンタクトがされる。  ……? 「ふーん。ねえ、桃ちゃん、コイツになんで彼女いないのか気にならない?」 「仕事しないサボりまくりのダラケ人間だからでしょ」 「そうね、それもあるわね。でも一番の理由はお嫁さんが半ば決まってるからよ」 「……あ、家の関係で? 同業者のすごい人が許嫁ってこと? あたしが知ってる同業者って綺子ちゃんとこだけだなぁ。まさか綺子ちゃん?」 「それは違う」×4  そろって否定された。だよね。 「他のとこよ。正式に決まってるってわけじゃないんだけどー、暗黙の了解っていうかー」 「蒼太」  さっきより強い口調で士朗お兄ちゃんが睨む。思わずびっくりするくらいの眼光。  でも蒼太お兄……お姉ちゃんは平然としてた。 「俺は承知したとは言ってない」 「ハイハイ。……いつまでそう言ってられるかしらね」  蒼太お姉ちゃんは意味深な笑みを浮かべた。その微笑み一つで国が落とせるだろう。 「いつまでも言い続けるさ。桃、そろそろおやつの時間だな。行こう」 「え、あ、うん」  露骨に話題そらされたと気づいたけど、あたしは何も言わないことにした。
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